かつて泣く泣く手放した名機600Xが再び手元にやってきました。今回はこの20世紀の名機を数回にわたってご紹介しようと思います。
かつてThinkPad 600を使う機会があり、ThinkPad 600シリーズのその打鍵感のよさに惚れ込んで、オークションで中古で状態のよい2645-4EJを大接戦で落札しました。落札価格は安くはありませんでしたが、メモリーも576MBになっておりUSキーボード仕様で状態がよいものでした。私はこの600XにLinuxを入れ、非常に快適に使用しました。
手放してしまったLinuxで稼働中の在りし日のIBM ThinkPad 600X 2645-4EJ
ところが当時務めていた会社の直属の上司は私に無茶な作業を押し付け、私はそれらが蓄積して体調を壊して入院してしまいました。当時は安月給でこき使われており入院費用を支払うだけの蓄えもありませんでした。
そこで、本当に断腸の思いで、せっかく入手した状態のよい2645-4EJを手放して入院費に当てました。
ThinkPad 600Xはヤフオクで何台か落札しようとしていましたが、中古でも状態のよいものは価格が高く、私は安価で入手のしやすかった世代的に同じリアルモバイルマシンのThinkPad 570Eを何台も購入し、強化し、周辺機器を揃えて使いました。そのため、実際に600Xよりも570Eを使っていた時期が圧倒的に長くなりました。
570Eや600Xで使用できる周辺機器は、2009年秋に江戸川中央の家を引き払う際にあらかた処分しました。周辺機器をあらかた処分することで、古い機械を入手しなおしてマシンの増加が再度始まるようなことが起こらないように自分で抑制したのです。
両国に引っ越してからtwitterを頻繁にやるようになり、そこでコアなThinkPadユーザーと知り合いになりました。私は引越しの際に多くのマシンや周辺機器を処分しましたが、正直私は処分を後悔しました。引越しを済ませるためには機械の処分は必須でしたし、当時の状況では必要なものと不要なものを分別することも不可能でした。そして何よりも時間がありませんでしたので、処分はどうしてもやらねばならないことでした。そういうことを頭で理解していても、処分したことはやはり後悔しました。
スペックで片付けられない機械があるのはよく分かっていますが、自分すべてが処分したものを再度買い直すというのは心情的にできないことでした。
twitter上のThinkPadクラスターな人の間ではしばしば名機ThinkPad 600シリーズのキーボードの話が話題になります。私は自分の600Xを所有した期間は短かったですが、600シリーズそのものは仕事などでよく使ったのでその打鍵感の素晴らしさはよく知っていました。ですから、ことあるごとに600シリーズの打鍵感はThinkPadの中では最高クラスだとよく言っています。未だにThinkPadの打鍵感の基準は600Xです。
2010年6月22日、この日もtwitter上で600シリーズの話をしていました。すると、フォロワーさんの@kazubu氏からThinkPad 600X 2645-5EJを譲っていただけることになりました。
そして2010年6月28日、名機IBM ThinkPad 600Xが再び手元にやってきました。
製品仕様:
IBM ThinkPad 600X(2645-5GJ) – 製品仕様(サブモデル番号:2645-5EJ)
@kazubu氏から譲っていただいたThinkPad 600X 2645-5EJ。
譲っていただいたものは、本体とバッテリー2個。
片方のバッテリーは生きていました。おかげで本体BIOSをアップデートすることができます。
本体キーボード部分。
キーボードは日本語配列。入力しやすい打鍵感は顕在でした。
パームレストの塗装が一部はげているものの、状態はかなりよいです。
600Xを手放してだいぶ経過していましたので、600Xの打鍵感が素晴らしいというのは頭の中で美化された感覚だったらどうしようと思いましたが、入力してそれは吹き飛びました。あくまで私個人のしてんですが、600Xの打鍵感はやはり素晴らしいの一言につきます。
固くも柔らかくもない絶妙なキータッチ、キーのどこを押してもきちんと力を伝え、指に吸い付くような弾性、筐体にしっかり固定された底板は叩きのめしてもたわむことのない優れた剛性、そこから生まれる安定した打鍵感、600Xの打鍵感の素晴らしさは言葉では表現できません。
天板。
隅の一部の塗装がはげていますが、使い込まれてた割にはこちらもかなり状態が良いです。
IBMロゴは終末期のものとはことなり、浮き上がったロゴエンブレムになっています。
ロゴも摩耗が少なく綺麗な状態です。
機種のエンブレムとIBMエンブレム。
そうです、これです。古き良きThinkPadのデザインです。
BIOS更新をするためにとりあえずWindows 2000 Advanced Serverを入れました。
電源投入直後に液晶が赤く表示される「二十日大根病」もなく、CMOSバッテリーも劣化していない非常によい機体です。
そもそも10年経ってこのように完動機体があること自体すばらしいことです。
譲ってくださった@kazubu氏には本当に感謝です。
次回はこの600Xの外見を見ていきたいと思います。