かつて泣く泣く手放した名機600Xが再び手元にやってきました。今回は英語キーボード換装についてご紹介したいと思います。
私はPC/AT互換機の日本語キーボードが打てません。
今まで使ってきたThinkPadはほとんど英語キーボードに交換してきましたし、デスクトップワークステーションやサーバーのラックコンソールも英語キーボードを使っています。根本的に日本語配列が使えない環境や、元々ANSI配列のDECワークステーションやそのキーボードを使っていたこともあり、英語キーボードの方が何かと便利なのです。
600Xのキーボードも英語配列にすることにしました。600Xが世に出てから10年、交換用キーボードは流通していても新品は入手が難しいです。検索してみるとうまい具合にデッドストックのThinkPad 600用英語キーボードを取り扱っている業者を見つけたので、取り寄せました。正直安くはありませんでしたが、それだけの価値があるので迷わず買いました。
2010年7月18日、交換キーボードセットが到着しました。
デッドストックのキーボード。緩衝材が黄変しているところに時代を感じます。
10年近く昔のものですから仕方がありません。それよりも未使用品がまだ存在していることに驚きです。
キーボード交換セットの構成品。これら全部まとめたキーボード交換セットのFRUは08K4825。
絶縁用シールとスペーサー、キーボード本体、ネジの目隠しシールと機種名エンブレムがセットになっています。
同梱の機種名エンブレム。
600と600Eしかありません。600Xが出る前に製造されたものでしょう。
それではさっそく分解してキーボードを交換していきたいと思います。
まずは底面ネジを外します。
600Xはキーボードを止めるのにネジをたくさん使用している上に、ネジの長さが数種類あります。
組み立て直すときに短いほうのネジをつけ間違えるとパームレストにおできのようなポッチができてしまうので長さは注意します。
600Xの分解にハードウェア保守マニュアルは必須です。
iPadはこういう作業のときに非常に役に立ちます。
iPadはだいぶ前にこっそり購入していました。外で使う予定も特にないし、外で使うときにはモバイルルーター化したEMOBILE S21HTがあるのでWiFi版64GBで妥協しました。
キーボード撤去完了。
キーボードはパームレストに固定されているので、交換にはさらにネジを外す必要があります。
せっかくパームレストを外したので、600Xの中身を見ていきます。
MMC-2のPentium3 500MHz。
その昔高値で購入したMMC-2のPentium3 750MHzは引越し前まで持っていたのですが、引越しの際に処分してしまいました。
惜しいことをしました。
ゆくゆくはMMC-2の最高峰、850MHzを載せてやりたいものです。
PCMCIAカードスロット。
部品の一つ一つが手の込んだ作りになっています。
内部を走るケーブルの固定にテープが使用されていないというのも注目すべきところです。
最近のThinkPadは様々なデバイスを搭載しているので内部を大量のケーブルが走るというのを差し引いても、その固定はテープで貼り付けるだけというような状況はThinkPad 600Xを知っている身としては寂しいものがあります。
ウルトラベイデバイス部分。
バッテリー部(中央)、HDD格納部(左)。
徹底した絶縁処理がされています。
パームレストとキーボード部分。
パームレストとキーボードは何ヶ所もネジ止めされています。
過剰ともいえる固定ですが、このしっかりした固定が快適な打鍵感を生み出しているのでしょう。
最近のThinkPadはキーボード換装はしやすくなりましたが、固定しているネジの数が本当に少なく、それが原因でバタついたりする機体が目立ちます。600Xのように過剰にしろとはいいませんが、もう少し固定ネジの本数は増やしてもいいのではないかと思います。
ネジと留金、フレキケーブルを外し、絶縁シールを剥がしてキーボードを交換します。
換装の終わったThinkPad 600Xキーボード。
ようやくあるべき姿になりました。
動作確認。
かつて私の元を去っていった先代ThinkPad 600Xの姿にまた一つ近づきました。
ただ、オペレーティングソフトウェアの面では新しいLinuxを使用しているのですでに先代を凌駕しています。
10年前の機種でも世代を越えて最新環境の恩恵に預かれるのは自由な環境を提供するオープンソースソフトウェアならではです。
次回は600Xを現役機種と同様の装備に強化する周辺機器のご紹介です。
お楽しみに。